甲子園常連校である、埼玉県の浦和学院高校。
甲子園に出場すれば、毎度優勝候補の一角と注目されながら、四強止まりで悔し涙を流していた。
そのため、ファンからは「無冠の帝王」と称されていたが、2013年のセンバツでジンクスを脱し、初の全国制覇を成し遂げた。
そんなチームを1991年から27歳の若さで監督に就任し、指揮を執っているのが名将、森士監督である。
森監督は、激戦区の埼玉・関東に位置しながら、頻度でいえば3年に1度は確実に甲子園出場しているという、驚異的な出場ペースを誇る。
理論上は浦和学院に入学すれば3年間で1度は甲子園を経験できるというものである。
全国制覇以前の森監督は、予選の戦い方を熟知し、予選を勝ち抜く自信と力は毎年持っていた。
現に秋の関東大会を3連覇するなど、抜群の安定感があった。
しかし、甲子園では思うような野球ができず、毎年戦い方を模索するも、チームのベストを引き出せず敗れていた。
その最大の原因は、相手チームとの力さでもなければ、不運が重なった訳でもない。シンプルな「気持ち」のさであったのだ。
甲子園という場所に出場できたことに、どこか満足してしまっていたのであった。
そのため、甲子園という空気に飲まれてしまったり、「できたらいいな」と消極的になっていた。
そこで、「やるぞ」と決意を決め、「気持ちの面」で負けるということが無くし、甲子園で今まで以上に勝ちにこだわり試合に挑んだ。
そんな監督の強い気持ちに選手たちも触発され、5試合で47得点、6失点の圧倒的な力で初の全国制覇を達成したのだった。