高校野球100年の年の2015年のセンバツ大会で、北陸勢初の甲子園制覇を成し遂げた福井県の敦賀気比。
甲子園常連校であったものの、幾度も四強の壁に阻まれていた。
しかし、15年のセンバツは猛打でそのジンクスを振り払い勢いそのままに頂点に立った。
そんなチームを指揮するのは、東哲平監督である。
全国大会にも常連で上位進出を続けるチームの監督の指導方針は意外にも「気づかせる役」に徹しているのである。
強豪校のため、実力を持った選手が多い。
そのため、新たに細かい技術を指導するより、選手たちが自分の才能に甘え、努力や練習を怠らないよう、「気づき」になる、アドバイスをする方が合理的であるという考えからだ。
東監督自身も、選手時代に才能に頼り、あまり努力をせず後悔した経験があり、教え子に同じ思いをさせないよにというのも大きな理由である。
自主性をサポートする形だけでなく、グランドが使えない期間には体づくりや体力強化、振り込み、基本動作の習得など、敢えて室内練習に徹底的に取り組ませていた。
野球部の冬メニューの定番である長距離走はさせず、独自の指導方針が、全国で勝てるチームに育った要因なのだろう。