2009年に創部後、道内では上位進出を続け、18年秋の神宮大会で全国制覇を成し遂げた、北海道の札幌大谷高校。
19年のセンバツでは、初出場初勝利を挙げるなど、近年の北海道の高校野球を引っ張る存在となっている。
チームを指揮しているのは、函館大有斗高校で1987年夏、88年春に2季連続で甲子園出場した経験を持つ、船尾隆広監督である。
14年の12月より札幌大谷の監督に就任すると、「中高一貫教育」で選手を中学時代から育て上げるスタイルを確立し、チームを4年で日本一へと導いた。
「中高一貫教育」には、中学3年の夏の引退時から直ぐに高校野球を体験させたり、勉強させたりできるという強み以外にも、中学生の勧誘を行う手間も省けるというメリットもあるり、選手にも指導者にも良い環境である。
また、他の強豪校の倍の6年間という時間で選手を育てられる特性を最大限に生かすためにも、指導者のバックアップ体制も整わせている。
甲子園や社会人野球での実績を持つスタッフに加え、系列の中学や大学の指導者も招き、指導をしてもらう機会を作ったり、指導者同士でコミュニケーションを取り、チーム状態を客観視する場を設けるなど、選手たちが野球に集中できる環境を作っている。
1人の選手に対して、数人の指導者から意見やアドバイスを貰うことで、選手はあらゆる考えや選択肢を学ぶことができるため、成長やスランプからの脱出が早くなるのだ。
札幌大谷では、毎年決まった野球のかたちを作らず、選手の性格や学年の特色などに合わせてチームの方向性を決めている。
守りからリズムを作る野球を行う年もあれば、積極的な攻めをする超攻撃型野球を展開することもあるように、チームの特徴が良い方向に働くように船尾監督が目標を設定している。
その一方で、「挨拶の際には止まってから礼をすること」や、「道具はきちんと整理整頓して並べること」などは、毎年チームが変わっても伝統として守るように指導している。
そして、練習中には技術指導以外には口を出さず、雰囲気作りや取り組む姿勢なども選手たちに考えさせ一任している。
選手たちが考えた通りに行動することで、学年の特色が指導者にも伝わり、チーム作りもしやすくなるのだろう。
札幌大谷が、これからの北海道勢を引っ張り、全国の舞台でも上位進出の常連となる日は近そうだ。
「「『これだけやったんだ』という自信を持たせることが大事」/ 札幌大谷 船尾隆広監督」への1件のフィードバック