「追い込むんじゃなくて、我慢だね」/ クラーク記念国際 佐々木啓司監督

21世紀に入り、駒大苫小牧全国制覇を筆頭に高校野球界で躍進を続ける北海道勢。

そんな北海道に新たに誕生した強豪校が通信制であるクラーク記念国際だ。

2014年の春の創部時には、部員9人でラグビー場を拠点の活動スタートで、環境としては恵まれていなかったものの、様々な困難を克服し2年3ヶ月という驚異的なスピードで、16年の夏に北北海道代表として甲子園に出場を果たしたのだ。

そんなチームを指揮しているのは、「ヒグマ打線」でおなじみの駒大岩見沢で監督として35年指揮を執り、10回を超える甲子園出場と、道内現役監督として甲子園最多勝利の記録をもつ佐々木啓司監督である。

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佐々木監督は、駒大岩見沢の野球に全てを捧げるかのように、スカウティングで道内を駆け巡り、ノックの打ち過ぎで膝の判決版を損傷したり、時には審判の判定に対しても大声を出すほどであった。

駒大岩見沢が2014年に閉校となったが、本気で全国制覇を目指していた情熱をそのままに、クラーク記念国際の監督に就任した。

しかし、野球に対する温度差や、選手層の違いなどから、就任当初は地区予選すら勝ち進めなかったのだ。

そこで佐々木監督は、かつてのように厳しく指導をするだけは、選手が成長しないことや、クラークの選手たちには適していないことを考慮し、海や温泉に連れて行くなどの「息抜きの時間」を取り入れた。

通信制の学校というシステムが話題となり、「野球ばかりしている」といった憶測が飛び交い選手たちには試合や野球以外でのプレッシャーや不安が多いことも、指導方針を変えるきっかけとなった。

これ以上の負荷を選手にかけるのは指導ではなくエゴになると考え、我慢をしたり、冗談やギャグを言いながら、判定にも声を出すことをやめ、現在では、のびのび野球を見守る役割に徹している。

そして、守りからリズムを作る野球を前提としながらも、駒大岩見沢の「ヒグマ打線」をクラーク記念国際にも受け継ぎ、「新・ヒグマ打線」の新たな伝統を築いている。

駒大岩見沢時代に達成できなかった全国制覇の夢を追いかけながら、新たな指導と伝統の強力打線を武器に、佐々木監督の青春はまだまだ続く。

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