2015年のセンバツで、2季連続となる8強入を果たした、群馬県の健大高崎高校。
当時チームの主将を務めていたのは、高校通算32本塁打を放った強打の捕手としても注目されていた、柘植世那選手である。
柘植選手は、小学1年生から野球を始めると、中学時代には2年時から捕手を務めるも、3年時には全国大会の8強進出に貢献するなどの実績を残していた。
しかし、強豪、健大高崎に進学後は、技術や身体の使い方だけでなく、頭を使った心理戦の野球という新しいスタイルに、なかなか馴染めずにいた。
それでも、難しさの中に面白さや楽しさを見出し、捕手のリードで学んだことを打撃にも活かすなどしたことで、2年夏には甲子園の舞台でもマスクをかぶることとなった。
甲子園でも、攻守にわたる活躍で、チームの8強入りに大きく貢献し、課題と自信を持ち帰り、最後の一年は主将としても、チームを引っ張ることとなった。
日本一を目指すために、更なる進化が必要と考え、食事量を増やして増量を行うなど、グラウンド外の時間も野球に充てるなど、努力を続けていった。
迎えたセンバツでは8強、夏の甲子園では16強と、目標を達成することはできなかったが、健大高崎の2年半で、心身共に成長した柘植選手に、後悔の涙はなかった。