6年ぶりの出場となった2019年のセンバツで、9年ぶりに初戦を突破し、16強入りを果たした、広島県の広陵高校。
当時、チームのエースを務めていたのは、最速150キロを誇る、伸びのあるストレートを武器としていた、河野佳選手である。
河野選手は、小学生時代はソフトボールを習っていたが、中学入学後にシニアチームに所属し、本格的に野球を始めると、高校は地元の名門、広陵へと進学した。
広陵では、グラウンド内だけでなく、挨拶や礼儀、寮生活など厳しいルールがあり、入部当初は野球以前のことに、着いていくのが精一杯の状態であった。
また、1年秋から控え投手としてベンチ入りを果たすも、制球が定まらない状態が続いたことや、球速が落ちたことで、一時は「投手クビ」を命じられ、野手への転向も勧められていた。
それでも、投手に対して強いこだわりを持っていたことから、監督に自らの想いを伝え復帰すると、課題の制球力安定のためにフォームを修正したり、下半身を強化するなどして、2年夏には甲子園のマウンドに立つまでに成長した。
続く秋以降は主力投手として、県大会と地区大会を優勝へ導くと、冬には、筋力トレーニングに積極的に取り組み、安定感のあるボールと力強いストレートを更に磨き上げていった。
迎えた3年のセンバツでは、初戦で自己最速を更新する150キロを記録すると、被安打3、無失点の圧巻の投球で、チームを勝利に導いたのであった。