2013年の夏の甲子園で、初出場初優勝の快挙を成し遂げた群馬県の前橋育英高校。
チームを全国制覇へと導いたのが、荒井直樹監督の息子でもある、主将の荒井海斗選手である。
荒井選手は小学5年の時の作文に書いた「父を日本一にの監督にする」という目標を叶えるために、父が指揮する前橋育英に自ら入学を決意し練習に励んでいた。
前橋育英には、荒井監督が作り上げた、挨拶、返事、キャッチボールなどの誰でもできる「当たり前」を徹底して行うスタイルがある。
そんな「凡事徹底」を極めることで、技術では劣る相手にも、試合では負けないチームが作れるという父親の教えを証明するためにも努力を続けていた。
入学当初は、父親を「監督さん」、寮母でもある母親に対しても「寮母さん」と呼び、両親からも特別扱いはなく、ほかの選手たちと変わらず指導を受けるなど、環境や立場が変わったことに対して慣れないことも多く、親子ならではの難しさもあった。
それでも、幼少期からの「夢」と、「親孝行」をモチベーションに日々練習や私生活で「凡事徹底」を続けていった。
決勝戦前日には、「お父さんを日本一の監督に、お母さんを日本一の寮母にしたい」とメールし、試合では決勝打を放つ活躍をし、親子の夢を叶えた。