2010年の夏、県大会ノーシードから快進撃を続け、甲子園では、58年ぶりの4強に進出を果たした、千葉県の成田高校。
当時、チームのエースとして夏の千葉大会を20年ぶりの優勝に導き、甲子園の5試合全てで完投をする活躍を見せたのが、中川諒選手である。
中川選手は、中学時代に世界大会3位を経験していたこともあり、全国の強豪校から誘いの声がかる注目選手であった。
そんな中で、唐川侑己選手に憧れ、唐川選手と同じ成田高校に進学を決意し、周囲からも「そっくり」と称されるゆったりとしたフォームにオリジナリティを加え、1年夏からベンチ入りを果たしていった。
2年秋には左すねを疲労骨折する怪我に苦しめられるも、屈することなくプールでのリハビリをしたり、ジムに通いで他の筋肉を付けるなど、できることを探しては、実行するストイックさで更なる成長を遂げていった。
また、夏の大会では連投や暑さによる疲労があると考え、冬場の投球練習では、通常よりも100グラム重いボールを投げるなど、スタミナの強化にも力を入れていた。
迎えた夏の県大会では、準決勝、決勝を連投で投げ抜き、決勝は11奪三振、被安打1の完封で優勝の立役者となり、憧れの先輩も果たせなかった夏の甲子園出場を決めた。