「大事なのは、他人と比べるのではなくどれだけ自分と勝負できるか」/ 近江 多賀章仁監督

近畿勢で唯一甲子園制覇の経験がない滋賀県勢。

そんな滋賀県で、全国制覇に最も近づいたのが近江高校である。

近畿を代表する強豪であり、甲子園常連としての知名度も高く、2001年の夏の甲子園では、「三本の矢」と称された3人投手を擁して、準優勝を成し遂げた実績も残している。

近江を指揮しているのが、選手時代は龍谷大平安で一塁手として活躍し、現在は近江高校の副校長も務めている多賀章仁監督である。

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多賀監督は、「下半身を鍛えること」を重視して長年チームを指導している。

特に冬場には、坂道や琵琶湖の砂浜を利用したトレーニングメニューを考案し、徹底的に下半身を鍛えているのだ。

また、学校のグランドでは、100mダッシュや三角ダッシュなど近江独自のメニューを、雨や雪に関係なく行い、筋力アップを目指しながらも、走塁に必要な「瞬発力」や「スピード」なども同時に向上させているのだ。

そして、「走るメニュー」を通して、「メンタル」の強化も行うように、厳しいメニュを多めに取り入れている。

過酷な走る練習メニューは、長時間行われることも多く、選手たちにとっては、「試練」のようなものである。

しかし、「試練」を乗りこえることで、選手たちは「自信」を持てるようになり、夏の苦しい場面や、全国の大舞台でも本来の力を発揮できるのだ。

全員で同じメニューをこなすが、多賀監督は決して他人と比較せず、「昨日の自分」に負けないように、自分自身と戦い続けることの大切さを伝えている。

一方で、ボールを使った練習では、全員で一球を追いかけるスタイルで、チームの結束力を高めている。

かつては、部員も多いことから、一人当たりの練習量が多くなるよう「効率」を優先していたが、全員で一球に対して声をかけ合うことで、一体感や連携の細かなミスがなくなることを考慮し、「全員の空間」を大切にしている。

ランメニューで「下半身」、「走力」、「メンタル」と三つの成長を同時に経験する「三本の矢」の状態に、「チーム力」という四本目の「矢」が加わった近江高校が、2001年の忘れ物を取りに来る日は近そうだ。

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