2020年の夏に行われた甲子園交流試合で、前年のセンバツの初戦と選手権の決勝に続く、三度目の星稜との対戦で勝ち越しとなる勝利を挙げた履正社高校。
当時、チームの主将を務めていたのは、強肩強打の選手としてプレーでもチームを引っ張り、全国から注目を集めていた、関本勇輔選手である。
関本選手は、プロ野球選手であった父親の影響を受け、小学1年生から野球を始めると、中学時代にはボーイズリーグでプレーし、履正社高校へと進学した。
入学当初は、全国トップレベルの選手たちが揃うチームに圧倒されベンチ入りの壁に阻まれていたが、小さなことの積み重ねを大切にし、2年のセンバツでは代打として甲子園も経験した。
しかし、チームが夏の甲子園で全国制覇を果たす中、関本選手はベンチ入りするも控え選手であったことから、プレーでは優勝に貢献することができなかった。
そんな悔しさと王者としての重圧に加え、新チームでは主将と4番を任されるなど、様々なプレッシャーのある中で新チームはスタートしたが、上手くエネルギーへと変え、攻守に活躍しチームをセンバツ出場へと導いた。
だが、コロナ禍によりセンバツだけでなく、夏の選手権も中止となり、チームとしての連覇や甲子園でプレーするといった個人の夢も失った。
それでも、交流試合や代替大会の開催で、野球ができることへの感謝を学び、それまで以上に一球を大切にしたプレーをしたことで、両大会圧倒的な強さで無敗を記録したのであった。