2009年の夏、優勝候補として県内だけでなく、全国から注目を集めながら、神奈川大会準々決勝で敗れた横浜高校。
当時、打撃の大黒柱としてチームを支えていたのが、2年時に出場した甲子園で1試合8打点を記録するなどの活躍を見せた、筒香嘉智選手である。
筒香選手は、「史上最強にして最高チーム」と称された、1998年の春夏連覇を果たした横浜高校に憧れて、偉大な先輩たちを追いかけて進学した。
中学時代から注目を集めていた筒香選手は、名門入学後すぐに4番打者として起用されるなど、周囲の期待は大きかった。
それでも、周囲に惑わされることや自身の力に過信することなく、「憧れの先輩」を目標に、黙々と練習をこなしていった。
大スターや、後のプロ野球選手がチーム内に存在する中でも、他者と比較をすることなく、自分自身と闘い、練習後にも誰にも見えない場所で、自らの目標を目指し、ひたすらバットを振る姿は、誰もが認める「努力の天才」であった。
圧倒的な「努力量」にも自惚れることなく、「自信」へと力を変えた2年夏には、甲子園で3本塁打を含む5割を超える打率でチームの4強進出に貢献すると、3年時には、センバツ準優勝投手の菊池雄星選手から練習試合で本塁打を放つなど、記録と記憶を残す選手へと成長を遂げていった。