神奈川県の高校野球界で「四強」の一角として毎年優勝候補として注目を集める慶應義塾。
かつては、甲子園での全国制覇の経験もある名門だが、1962年を最後に半世紀近く甲子園から遠ざかっていた。
そんなチームを四半世紀指揮し甲子園に導いた名将が上田誠監督である。
45年ぶりに出場した77回センバツでは快進撃で8強進出。2008年の夏の甲子園でもベスト8と古豪の復活を成し遂げた。
上田監督は「エンジョイベースボール」をテーマに、理不尽な上下関係制度や悪しき伝統にとらわれず、のびのび野球で選手たちを指導していた。
和気あいあいとしたチームカラーではあるが、野球に関しては妥協はしないチームでもある。
高校野球界では礼儀正しさや、人間形成などが必要だという意見が多い。
しかし、上田監督は、それら以上に野球を好きになることが大切だと考えている。
好きになれば、自ら考えて行動するようになる。
自分自身で取り組むことで、「エンジョイベースボール」という目的に到達するからだ。
練習では常に、選手たちに自主性を学ばせつつ工夫するように、或いは、できるようにするためのアドバイスをおくっていた。
選手たちに「楽」をさせるのではなく、「楽しませる」ことにより能力を最大限に引き出すことができたのだろう。