春夏合わせて5度の甲子園優勝へと導くなど、数々の記録を残し、スター選手も育て上げた、名将、渡辺元智監督の後を継いだ、平田徹監督。
周囲からの期待とプレッシャーがかかる中での就任となったが、監督期間の4年間では、全てのチームを甲子園へ導き、夏の県大会では3連覇を成し遂げるなど、結果を出し続けていた。
そんな平田監督の指導は、渡辺監督や、名指導者、小倉清一郎部長とは、異なったアプローチではあったが、今どき選手たちに適したスタンスであった。
渡辺監督時代の横浜高校では、勝利のために必要な作戦の軸となる基礎練習やトレーニングを、指導者が中心となり組み立てていたが、平田監督は、自主性を前面に押し出し、練習メニューを選手に考えさせ、任せることを行った。
一見、この選手任せの練習は、選手たちが得意なものや好みのものばかりを選び、弱点の克服に繋がらないといったデメリットがあり、非効率なように思える。
しかし、やらされている練習では、選手の成長の速度も遅くなり、指導者自身も気を遣うなど、レベルの高い練習でも、生産性の低いものにしかならないと考え、このスタイルを貫いていたのだ。
また、選手たちが話し合い、自らでメニューを選んだことで、試合で結果が出ない場合に、言い訳や人のせいにすることもなく、自然と反省と改善に取り組めるなど、大きなメリットもあった。
そして、選手たちがそれぞれに考えていることを監督が把握できることで、チームの組み立てがスムーズに行えたり、采配にも活かせるなど、試合にも役立つものであった。
教えて身につけさせるのではなく、本来持っている力を引き出し伸ばすことで、短期間でも結果を出すことができたのだろう。
渡辺監督、平田監督の作った伝統を引き継いだ、名門、横浜高校の6度目の甲子園優勝へ向けた挑戦に、今後も目が離せない。