高校野球の聖地、甲子園球場では、毎年、幾多ものドラマが生まれたり、伝説として語り継がれるような名勝負も誕生する。
そうした試合の中には、九分九厘勝敗が決まった状態から、観衆や流れを味方につけてひっくり返すケースもある。
僅かな隙や小さな綻びが、きっかけとなり、大逆転へと繋がるため、プレーする選手たちはもちろん、指導者も最後の最後まで気を引き締めなければならない。
そんな甲子園の独特の雰囲気に飲まれないようにするために、福岡大大濠を指揮している八木啓伸監督は、練習から妥協を許さず指導を行っている。
福岡大大濠は、甲子園出場実績に加え、プロ野球選手も多数輩出している名門ではあるが、学業にも力を入れている。
そのため、全国レベルの強豪校と比べると、練習の時間は少なく、環境も決して恵まれてはいない。
事実、平日の練習は、7時間目の授業後の2時間程度しかなく、こなせるメニューには限りがある。
だが、そうした事情に甘えたり、学業を言い訳にすることは、甲子園では通用しないという理由から、八木監督は、与えられた条件でベストを尽くすよう促している。
ストイックに現状に向き合い、日々精進を続ける福岡大大濠は、八木監督に導かれ、更なる飛躍を目指す。