甲子園出場は、僅かに1度ではあるが、全国的な知名度を誇る、強豪、東大阪大柏原高校。
激戦の大阪府にて、上位進出の常連であり、毎年、優勝候補の一角として注目を集めている。
そんな東大阪大柏原を指揮していたのは、上宮高校を率いて、全国制覇を成し遂げた実績を持つ、田中秀昌監督である。
田中監督は、上宮を全国レベルの強豪校へと育て上げるだけでなく、幾人ものプロ野球選手を輩出していたことから、就任時は大きな話題を呼んだ。
しかし、当時の東大阪大柏原は、甲子園出場経験はなく、府内ですら無名の存在であった。
また、度重なる不祥事により、野球以外の指導に時間を割くことも多く、甲子園は難しいと考えられていた。
それでも、目的の人間形成と、目標の全国出場を目指し、選手たちに真正面から本音で向き合い、丁寧に育てていった。
特に、野球というスポーツだからこそ学べる、仲間と助け合うことの大切さや、工夫次第で下馬評を覆せる面白さなどは、ことあるごとに伝えていた。
その結果、就任から9年目の夏に、悲願の甲子園切符雨を掴むと、初陣も見事、勝利で飾ったのであった。
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