北陸を代表する名門、福井商業を1968年から指揮していたのが北野尚文監督である。
北野監督は、通算36度の甲子園へチームを導き、1978年には、センバツで準優勝を成し遂げた。
また、1986年夏から8季連続出場や86年から続く夏の福井県大会20年連続決勝進出など数々の見間も破られぬ記録を残している。
そんな北野監督は、周囲から「北野学校」と称されるほど人間的に評価される選手を育てていた。
就任当初は、北陸勢初の全国制覇を本気で目指していたことから、選手たちをスパルタで指導し、雪で学校が休校の日でも練習を休みにすることはないほどであった。
猛練習では甲子園出場の目標を達成できたが、甲子園で勝てるチームに作れなかった。
そこで、雪でグランドを使えない期間を有効活用するために、筋力トレーニングを本格的に取り入れ、練習量ではなく練習の質を追求していった。
その後、甲子園常連校となった80年代後半から、北野監督は試合で勝つことだけにとらわれず、人間的な成長を目標に指導方針を変えた。
「福井商」という名前だけを頼りに、努力を怠る雰囲気がチームの隙となりつつあったため、改めて、高校生としての自覚や、私生活の重要性、練習への取り組み方などの、野球の技術以外の面を鍛えた。
甲子園での勝ち星や、甲子園が遠かったチームは、人間的な部分を強化したことで、再び甲子園常連となり、上位進出を果たしたのであった。
山あり谷ありの監督人生で福井商業を強豪へと育て上げ、「ガマン」と「ロマン」の繰り返しで高校野球界に大きな記録と記憶を残した「北野野球」は、これからも福井商業の選手たちへ受け継がれていく。
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