平成3年のセンバツで初出場ながら8強入を果たすと、11年の夏の甲子園では、県勢初の全国制覇を成し遂げた桐生第一高校。
その後もコンスタントに甲子園へ出場し、15年夏には4強入りを果たすなど、数々の実績やプロ野球選手も輩出している強豪である。
そんなチームを1985年の創部時から指揮してきたのが、福田治男監督である。
甲子園には、春夏合わせて14回導き、県勢初の全国制覇も成し遂げたるなど、チームを全国レベルのチームに育てあげた名将である。
福田監督が徹底していたのは、「投手を中心とした守りの野球」である。
監督就任当時は、打ち勝つ野球も意識していたが、打撃は相手投手や選手の状態によって計算ができないことも多く、上達するにも時間がかかるため、守りの野球を選んだ。
もちろん、ベンチ入りメンバーの選考基準も守備力であるため、選手たちは自主練でも打撃より、守備のノックを行う。
そのため、桐生第一のキャッチボールはウォーミングアップではなく、足を動かし実践を想定した本格的な練習であり、ノックは守備練習ではなく、試合のつもりで行う。
送球や捕球の小さなミスでも、得点に関係することが多い守備は、一球に対する緊張感がメンタルを鍛えるという効果もある。
これほど守備練習にはこだわるが、基本的には、選手たちの本来の動作を崩さず見守り、「強く投げること」と「持ち替え時に縫い目を意識して握ること」の二点以外の細かい技術の指示はしないのが、福田監督流である。
また、バッティング練習の際にも、実際の打球を補球できる機会であることから、必ず守備練習として併用もしている。
単なる「球拾い」ではなく、本格的な「守備練習」と、意識高く向き合うように、選手たちを指導していた。
そして、練習では敢えて重圧をかけて、選手たちを指導するが、そこには、試合で楽しく自信を持って好きな野球ができるようにという、監督の配慮があった。
2019年から、利根商業で指揮を執る福田監督は、新天地でも、「守りの野球」を徹底し再び頂点を狙っている。
「「自信が持てれば、プレーしていても楽しいです」/ 桐生第一 福田治男監督」への1件のフィードバック