超攻撃型野球を武器に、全国制覇を成し遂げた常葉菊川を指揮していた、森下知幸監督。
送りバントをほとんど使わず、積極策でチャンスをものにするスタイルは、多くのファンの心を掴み、球界に大きな衝撃を与えた。
しかし、普段の練習で森下監督は攻撃や積極性ばかりを鍛えていたわけではなかった。
求めていたのは攻める姿勢であって、どれだけ積極的であっても、後先考えない結果オーライになるような雑なプレーは認めなかった。
事実、守備練習を中心に、時間をかけて基礎や基本を繰り返したり、細かなカバーリングなどの徹底も行っていた。
その一方で、キチンと考えた上で前向きなプレーを実行し、ミスをした際には叱ることはしなかった。
失敗を恐れて消極的になっては、本来の力や個々の長所は引き出せないという考えがあったからだ。
その結果、自然とチームに考えて攻めるスタイルが確立され、ついには全国の頂点を掴んだのであった。
ただただ攻めるのではなく、根拠や自信を持たせた上で挑戦させる森下監督の野球は、常葉菊川の伝統としてこれからも受け継がれていく。
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