甲子園で春夏合わせて30を超える勝ち星を残している九州の強豪、鹿児島実業高校。
創部100年を超える伝統と、平均すると4年に1回のペースで甲子園出場をしている安定感を持つ名門である。
多くのプロ野球選手輩出に、1996年のセンバツには県勢初の全国制覇を成し遂げるなど、数々の実績を残している。
そんな名門を指揮するのは社会人野球の経験もある、OBの宮下正一監督である。
宮下監督は、自身も選手時代に経験した、鹿児島実業の伝統メニューの「鹿実の裸練」と呼ばれている、上半身裸で行う朝練を現在も続け、選手たちを鍛えている。
朝練ではボールを使わずに、ランニングや縄跳び、腕立て伏せなどの基礎体力作りを目的としたメニューを100人を超える部員全員で行なっている。
また、「裸練」には基礎体力だけでなく、「精神力の強化」といったもうひとつの狙いが隠されている。
真冬の寒い冬の日でも、平日は必ず1時間行う「裸練」は、練習内容以上に寒さが辛く、精神的な成長が得られるのだ。
「根性論」と批判されることもあるが、多くの部員が風邪をひかなくなり、センバツ大会でも寒さに動じない野球ができたりと、暖かい地域にある鹿児島実業にとっては、合理的な練習なのだ。
そして、練習前に行う、「三礼の励行」といった伝統的な礼法も受け継ぎ、「人間教育としての野球」を軸としながらも、「大胆な野球」も目指している。
礼儀や伝統といった丁寧な野球を意識しすぎて、勝負所で守りに入ってしまうという悪い面がでてしまっていることから、宮下監督は積極性や大胆さを新たな伝統として築いている。
現在の高校野球界は、練習の効率化や科学的根拠に基づいたメニューの導入が大半を占めているが、敢えて伝統に拘り、精神から野球を鍛えていく鹿児島実業の野球に、今後も目が離せない。
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