甲子園で最も勝利を挙げた、智弁和歌山の高嶋仁監督には、誰にも負けない「勝利への執念」があったからだろう。
圧倒的不利な状況でも、終わってみれば智弁和歌山の大逆転で幕を閉じていた、という試合がいくつも存在し、甲子園ではちょっとした名物にもなっている。
高嶋監督は、「大逆転劇」を演出しているわけではないが、「大逆転劇」を起こせる力を、日々の練習でつけさせていることは間違いない。
事実、智弁和歌山の練習メニューには、強豪校の監督ですら「無理だ」と言わしめてしまう、恐ろしい練習メニューがいくつも存在している。
160キロに設定されたマシーン打撃や、1000本のポール間ダッシュなど、周囲が真似をしたくても出来ないレベルのメニューが、智弁和歌山を強さを支えているのだ。
一見、選手たちに厳しすぎる指導をしているように思われがちだが、高嶋監督は自らにも厳しいノルマや課題を与えていた。
誰よりも早くグランドへ出ては、練習の準備や整備をしたり、考えたメニューは自分で試すなど、決して選手だけに厳しい練習を強要していたわけではなかったのだ。
還暦を過ぎても自らの身体に鞭を打ち、「このチームを強くしよう」、「この選手を育てよう」という強い想いを、言葉だけでなく行動で示し続けた高島監督。
誰よりも努力したからこそ、誰も成し得ていない記録を残し、誰よりも甲子園で勝った監督になることができたのだろう。
無名の学校を一人で全国トップレベルまでに育て上げた、名将の伝統を受け継ぐ智弁和歌山は、高嶋監督以上の努力を目標に、今日も汗を流している。
「「選手を怒る前に、自分の選手時代を振り返ってみてください」/ 智弁和歌山 高嶋仁監督」への1件のフィードバック