高校野球史上、甲子園で最も勝利を挙げている指導者は、智弁和歌山を指揮していた高嶋仁監督である。
代名詞ともなっていた強打で、打ち勝つ野球もあれば、1点差を守りきる野球を展開することもあり、その手腕は多くのファンを魅了していた。
そんな高嶋監督だが、練習で最も鍛えていたのは、技術ではなくメンタルの部分であった。
智弁和歌山は、甲子園の舞台で幾多もの大逆転劇を繰り広げていたことから、攻撃力の高さが注目されることが多い。
実際、練習では150キロを超えるマシーン打撃で、全国でも振り負けないような準備を行っていた。
また、攻撃への流れを作る守備の強化にも時間を割き、高嶋監督自ら打つノックは、全国トップクラスに厳しいものと称されていた。
しかし、そうした過酷な練習を行うことの目的は、技術の成長だけでなく、強い心が育てることであった。
どれだけ高い技術を持っていても、プレッシャーに負けていては、大舞台では発揮できないという持論があったからだ。
野球が終わった後の人生という次のステージでも武器になる、強い心を育て上げながら、野球でも結果を残した高嶋監督のスタイルは、これからも智弁和歌山に受け継がれていく。
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