2005年の甲子園に春夏連続で出場し、夏の選手権では20年ぶりの4強進出を果たした、山口県の宇部商業高校。
当時チームのエースとして、地方大会から一人で投げ抜き、甲子園でも全試合を完投する活躍で支えていたのが、好永貴雄選手である。
好永選手は、2年夏の県大会では背番号7をつけ外野手として試合に出場しており、本格的に投手をスタートさせたのは、秋の新チームからであった。
エースで4番と、投打の軸になった秋の大会では、神宮大会出場にも貢献し、全国から注目を集める存在となっていった。
センバツで回戦で敗れたことを踏まえ好永選手は、夏の大会に向けて、甲子園出場ではなく、甲子園で勝つことを目的に練習に打ち込んでいった。
そして、迎えた最後の夏は、地方大会の準々決勝で打球を手に受けるアクシデントや、延長15回引き分け再試合など、試練や激闘の連続であった。
練習だけでなく、県大会を勝ち抜いたことも「自信」に変えた好永選手と宇部商ナインは、甲子園でも強豪を次々と撃破していった。
準決勝では、後アウト3つのところで逆転を許し力尽きるも、夏を一人で投げ抜いてきた疲労を感じさせない活躍は、多くの野球ファンの心を掴んだ。