「一番行きたい場所は甲子園だけど、一番いいグラウンドは母校のグラウンドです」/ 広陵 中井哲之監督

毎年100人前後の部員を抱えながらも、選手たち全員の監督、教師、父親の三役を担う中井哲之監督の指導こそが、広陵の強さの秘訣である。

高校野球の名門では、伝統や実績がプレッシャーとなれば、自然と野球の指導だけに熱が入り、生徒指導や人間形成にまで時間を割けず、不祥事を招くことは少なくない。

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しかし、中井監督は、野球の指導生活指導の両立を完璧にこなし、卒業後もプロの世界ではもちろん、野球を離れた社会人としても役立つ教え子を輩出し続けている。

中には、中学時代に野球ばかりを極めていて、私生活や学校での態度が良くない部員も入部してくるが、広陵では、技術の高さだけでレギュラーやベンチ入りメンバーを決めることをしない。

学校や私生活の態度に始まり、親への感謝や仲間への配慮の有無などを重視し、メンバー選考や選手起用を行っている。

こうした教育者としての顔も持つが、慣れない寮生活や苦しい練習ばかりでは、選手たちのモチベーションが上がらなかったり、辛いことを考慮し、父親としての一面を見せることもある。

選手たちの誕生日にお祝いをしたり、クリスマスや子供の日にスイーツを用意するなど、暖かい家庭のような雰囲気を演出し、居心地のよい場所の提供も行っている。

このように、グランドでも私生活でも選手たちの過ごすことで、ここの性格や考え方が把握でき、試合での采配や起用にも良い効果をもたらしているのだ。

時代の流れで、野球観や選手たちの考え方が変わる中で、ぶれることなく選手たちの成長を第一に考え、そのための最適な環境作りを行う中井監督

そんな監督とともに過ごした、広陵での三年間は選手たちにとって、甲子園よりも素敵な場所なのだろう。

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