2013年の夏、「当たり前のことを当たり前にする」というチームスローガン通りの試合運びだけで、ノーマークの前橋育英は、初出場で甲子園を制したのであった。
名だたる名門や注目選手が登場した大会であったため、大きな特徴や実績もない前橋育英は、下馬評では初戦突破が関の山だと考えられていた。
しかし、荒井直樹監督が作り上げていたチームは、全国の名だたる名門でも勝てないほどの、当たり前を当たり前にする力が備わっており、その力を武器に勝ち進んでいったのであった。
そんな荒井監督の指導スタイルは、野球だけにとどまらず、学校や私生活などを含めた、全てのことにおいて、「凡事徹底」を重視している。
やると決めたことは、「徹底」することにこだわり、特に挨拶やゴミ拾い、服装などの野球以外のことにも厳しく指導しており、甲子園出場した際のホテル生活でも変わらず続けていた。
その一方で、カバーリングや全力疾走などの基本を怠った場合を除き、野球の技術面に関しての、ミスや失敗は、叱らないなど努力や練習で補えきれないことで、選手を責めることはしない。
野球ではプロやトッププレイヤーでもミスや失敗が起こるため、高校生にはそのレベルを求めず、ミスをした後の行動や周りのサポートの仕方などが重要であることを伝えている。
だが、技術がなければ勝てないのも事実であるため、ミスを減らすための取り組みとして、練習に本番と同じ緊張感を持たせ、何度もチャンスを与えないなど、1回、1球に集中させるなど、工夫も凝らしてる。