2013年の夏の広島県大会決勝で、延長15回引き分け再試合を制して、13年ぶりの甲子園出場を果たした、瀬戸内高校。
当時、チームのエースを務めていたのは、最速147キロのストレートを武器に相手打線を抑え、大会注目右腕として、全国から期待されていた山岡泰輔選手である。
山岡選手は、小学2年時からソフトボールを始め、中学時代は県大会に出場しながらも軟式野球部であったため、硬式野球は高校入学からのスタートであった。
それでも、ソフトボール時代から投手一筋であったこともあり、1年秋にベンチ入りを果たすと、秋からはエースとして試合に出場するようになった。
高校球児としては珍しく、「甲子園」ではなく「野球を楽しむこと」を目指していた山岡選手は、厳しい練習にも苦戦することなく取り組み、凄まじい成長を遂げていった。
しかし、2年時には期待や注目をされながらも、思うような投球ができず、野球が楽しくない期間が続いていた。
そこで、先輩からのアドバイスを受け、攻めの姿勢を投球に加え、技術やスキル以上にメンタル面を意識したことで、再び楽しい野球ができるようになり、復活を遂げていった。
迎えた最後の夏は、再試合を含めた決勝の2試合を無失点に抑える好投を見せ、甲子園へチームを導くと、日本代表として臨んだ世界大会でもチームの準優勝に貢献したのであった。