指導者という仕事では、客観的な視点で観察したり、結果から物事を分析して、アドバイスを送る業務がある。
当人が気づいていない失敗の原因を伝えたり、自覚していない長所を引き出すためには、必要であるからだ。
しかし、理想を追い求め過ぎるあまり、ついつい上から目線になったり、現実的でない目標を設定してしまう者も多い。
高いゴールに向かわせることは、決して間違ってはいないが、無茶や理不尽を強要しては、人を伸ばすことはできない。
そんな考えから、秋田商業を指揮していた小野平監督は、教える内容を自ら挑戦するなどして、同じ目線で接することを意識していた。
小野監督は、球界を代表する名門、秋田商業の監督に就任すると、その名に恥じない、幾多もの功績を残していた。
だが、どんなに実績を残そうとも、選手たちの意見を聞き入れ、自分の価値観や考え方を強制することはしなかった。
また、どれだけ理屈が正しくとも、現役時代の自分ができなかったことを、厳しく指摘するようなことはしなかった。
その結果、選手たちとの深い信頼関係が築け、指導者も含めた全員野球という武器が得られ、全国レベルのチームを、幾つも作り上げることができたのだろう。
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