夏の県大会6連覇を達成や、甲子園での上位進出で全国から注目を集める青森県の強豪、青森山田高校。
チームを2002年から11年まで指揮していたのは、日大山形の監督を30年勤め、甲子園に14度導いた実績を持つ、渋谷良弥監督である。
渋谷監督は、日大山形の監督時代から、一人の生徒が一度は甲子園を経験できるように「3年に一度は甲子園」の目標を掲げ指導していた。
日大山形ではチームを再建し、青森山田ではチームを全国常連に育て上げながら、目標通り45年の監督人生で甲子園に22度出場を果たし、頻度で言えば2年に1回のペースという記録も残した。
しかし、全ての教え子に甲子園を経験させることや、甲子園のベンチ入りをさせることができないことが大きく心残りとなっていた。
そこで渋谷監督は、「最後までやり切る」という素晴らしさを選手たちに伝え、甲子園を目指しながら最後まで続けた選手全員を成長させることも重視していった。
レギュラーになれなかった選手にも、その後の人生で役立つようなスキルを伝えたり、進路先を監督自ら率先して探すなど、努力を報うことにも力を注いでいた。
強豪校での指導にも技術や結果ばかりに捉われず、選手を育てるという指導者としての使命を果たした渋谷監督は、まさしく名将であった。