「嫌われると、どんな言葉も相手に届かなくなります」/ 学法石川 佐々木順一朗監督

勝利」というものを目標にせずとも、数々の好成績を残してきたのが、福島県の学法石川の指揮を執る、前仙台育英監督の佐々木順一朗氏である。

仙台育英時代には、監督就任から6年で東北勢として初のセンバツ準優勝を成し遂げるのなどの、黄金期を作るも、不祥事が発覚し、チームも5年間甲子園から遠ざかることとなった。

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そこで、佐々木監督は指導方針を大きく変え、勝利に執着したかつての野球から、野球を通して楽しみながら成長する独自のスタイルを作ったのだ。

具体的には、「いい親父になる」、「ディズニーランド構想」、「飛脚プロシェクト」の3つであり、これらを軸に、指導と活動をスタートしていった。

いい親父になる」には、将来父親になった際に、高校野球で経験した苦楽を自信と糧にし、子供を支えられるようになって欲しいという願いが込められている。

また、「ディズニーランド構想」では、部活をディズニーランドのように見立て、仲間や周囲の人が心地よく過ごせるように行動することを意識させ、思いやりや気遣いを学ばせている。

3つ目の「飛脚プロジェクト」とは、グランド内を走って行動するためのスローガンであり、「走れ」や「ダラダラするな」といつた厳しい言葉より、選手も指導者も気軽に言い合えることから、掲げたものである。

上記の3つを目標にしたことで、勝利を意識してチーム内がギスギスしたり、選手間で温度差のあったかつてのチームカラーから、明るく楽しい雰囲気に変わり、チームの結束力という武器が生まれたのであった。

学法石川の監督就任後も、これらの要素を引き継ぎ、練習中にハイタッチを交わしたり、試合でも笑顔を絶やさなくなったチームは、凄まじい速度で成長し続けている。

佐々木監督によって、新しいエネルギーを蓄えた学法石川が、1999年夏から遠ざかっている甲子園へ、帰ってくる日は近そうだ。

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