九州勢を引っ張る存在となった大分県の明豊高校は、川崎絢平監督の指導が加わったことで、更なる成長を遂げている。
初出場後、投打に安定した野球で、甲子園常連校になりつつあったチームは、選手時代に名門、智弁和歌山で全国制覇を経験した川崎監督が就任したことで、野球が強化されたのだ。
川崎監督が目指しているのは、自身が智弁和歌山時代に経験し、学んだ走攻守全てにおいて攻める野球ができるチームを作り上げることである。
明豊の野球は、打撃戦や集中打で試合を制することが多く、智弁和歌山と同様に、「強打で打ち勝つ野球」と周りに認知されているが、攻めの「守り」 も持ち味である。
日々の練習では、1日平均800本、多い時には1000本を超える素振りや、様々な種類のティー打撃、竹バットを使った練習など、全国トップレベルの打撃強化も行い、打ち勝つ野球の準備を万全に整えている。
しかし、相手投手や自チームの調子次第では、本来の力を発揮できないこともあり、打撃だけでは試合のペースを計算することが難しい。
そこで、攻撃のペースを掴めるまでに、失点しないための守備力が必要と考え、かつて自身が所属していた智弁和歌山のような、投手を中心に守りから攻めるスタイルへとたどり着いたのだ。
川崎監督の恩師、高嶋仁監督から学んだ、キャッチボールの一球の大切さや、確実にアウトをとることへ意識を持つことなど、明豊の伝統とアレンジしながらオリジナルの野球を作っていた。
そして、攻めの姿勢は野球だけでなく、練習への取り組み方にも必要であると伝え、極力自発的に動くようにサポートし、行動に対して責任感を自覚させ、自立したチームになることも求めている。
1点でも多く取ることを目指し、1点でも失点を少なくするといった、当たり前のテーマを課し、全選手が自覚と責任を持って取り組むことで、明豊野球は進化し続けているのだろう。