1989年の夏の甲子園に初出場を果たして以降、甲子園常連校となり、2014年のセンバツでは4強進出も記録している、栃木県の佐野日大高校。
チームを1973年のから2016年まで指揮しているのは、甲子園に春夏合わせて10度導いた実績を持つ、松本弘司監督である。
松本監督は、就任当時から特別な練習やメニューを取り入れず、一貫して「体づくり」を重視して指導していた。
選手の素質を無駄なく育て引き出すには、怪我をさせないことが大切だと考え、怪我のリスクを減らすために「体づくり」に着手したのだ。
通常の練習では、何種類もあるダッシュやストレッチのメニューを1時間以上かけて行うなど、大会前でも欠かすことなく続け、その後行うキャッチボールでも、他チーム以上時間をかけ、入念に怪我防止に努めさせていた。
その一方で技術の練習では、選手の自主性を尊重し、監督から指示や課題を出すことはせず、選手たちの考えた練習を見守る役に徹し、指導はアドバイスを送る程度であった。
そのため、平日には自主練習の時間を2時間程度確保し、それぞれの課題克服やスキルアップができる環境を作っていた。
「体づくり」と「自主性」という松本監督が作った伝統を受け継ぎ、躍進を続ける佐野日大から、今後も目が離せない。