2015年の神宮大会優勝に、翌年のセンバツ準優勝など、20年以上甲子園から遠ざかり低迷していた名門、高松商業を復活へ導いた、長尾健司監督。
中学野球の指導者時代にも、平日の練習時間1時間という限られた環境で県大会優勝へ導くなど、選手たちの挑戦意欲と能力を引き出すスタイルで、チーム作りを行っている。
長尾監督が就任した際の高松商業には、長年結果が出ていないことで、プレーに自信が持てず、何事に対しても消極的な姿勢が多く、マイナスの雰囲気が漂っていた。
そこで、長尾監督は、選手たちが失敗やミスを恐れずにのびのびと挑戦ができるムード作ることに力を入れ、自信をつけやすい環境を整えていった。
そのため、練習や試合ではできるだけ、選手たちの考えに任せるようにし、自主的に行動やプレーをして、ミスや失敗があっても結果だけを怒ることをしない。
また、グランド外や学校での生活態度に対しても、選手たちが間違った行動をすれば、怒らずに行動の正誤を問いかけたり、意図を聞くなど、頭ごなしに指導することをなくした。
「その考えがなぜダメなのか」、「その行動がチームにどのような影響を与えるのか」など、目先の物事ではなく、目的を確認させることで、選手たちは本質を理解できるようになっていくのだ。
何気ない小さな問題に対しても、対話を繰り返すことで、常に選手たちに考える意識が生まれ、試合のあらゆる場面でも焦らず、プレーができるようになっていった。
そして、対話重視の指導では、選手たちの考えや性格などが把握できたり、選手との距離感を縮められるといったメリットを采配にも活かしたことで、レベルの高い野球ができるようになっていった。
常に失敗から学び成長を続ける高松商業と長尾監督の更なる躍進に、今後も目が離せない。