2006年の夏の甲子園で、駒大苫小牧との決勝戦引き分け再試合の大熱戦を制し、学校史上初の夏の甲子園での全国制覇を成し遂げた早稲田実業。
激戦の東京に位置しながらも、春夏合わせて40を超える甲子園出場を記録し、センバツは1957年に、選手権は2006年に全国制覇の経験がある、高校野球界の名門である。
そんな、早稲田実業を92年から指揮をしているのが、OBの和泉実監督である。
和泉監督は、「監督のいらない野球」を理想とし、日々、「自立したチーム」を目指して選手たちを育てている。
早稲田実業練習では、監督や指導者からの指示や怒鳴り声は一切聞こえず、失敗やミスに対しては、選手たちで練習を中断し、確認や注意をしている。
強制的に指示に従わしていては、監督の指示が通りにくい試合で「ミス」が出てしまい、勝敗に大きな影響が出てしまう。
そのため、選手同士で話し合い、感じたことをそのまま考えて試すスタイルを導入し、「判断力」や「思考力」にを身につけさせている。
他のスポーツでは、試合中は選手が自分たちで考えてプレーをしているが、野球では一球ごとに監督が指示を出していることに疑問を持った和泉監督は、野球も試合の主役は選手たちであると考え、全てを任せるスタイルへと変更したのである。
監督が中心になってしまい、選手たちの「感性」や「やる気」、「実力」などの予め身についているものを奪わず、それらを最大限引き出している。
また、選手間で話し合うことには、「自立」だけでなく、「コミュニケーション力」や「チームの結束力」なども得られるという、多くのメリットもある。
監督の仕事は、選手たちがアドバイスを求めてきた際や、悩んでいる場合のみに、声をかけサポートをすることがほとんどである。
その際にも、選手には必要以上のアドバイスをしたり、無理矢理指示通りのことを徹底させることはなく、あくまでも、提案程度にとどめている。
そして、結果が残せなくても、負けが続いても、根本的な解決にならないため、「答え」や具体的な「解決方法」は教えない。
だが、自分の課題に正面から向き合い、人の指示を待つのではなく、自分自身で考えて動き多くの経験をすることで、「自信」が生まれ、試合にも「結果」が現れるのだ。
そんな早稲田実業の、日々成長する「考える野球」は、新たな歴史を作るのだろう。
「「敗戦は、自分を見つめ直すには、これ以上ない材料」/ 早稲田実業 和泉実監督」への2件のフィードバック