「選手の数だけ基本が存在している」/ 遊学館 山本雅弘監督

2002年の夏の選手権で、創部から1年4ヶ月という驚異的な早さで、甲子園出場を決めた、石川県の遊学館高校。

初出場初勝利を挙げると、勢いそのままに1・2年生の部員のみで8強まで勝ち進んだことで、全国から注目を集める存在となった。

そんなチームを指揮しているのが、同県の強豪である星稜のOBで、星稜の中学野球の監督として全国制覇へ導いた経験も持つ山本雅弘監督である。

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山本監督は、遊学館の監督就任時から、当時では珍しいパソコンを導入した「デジタル野球」を指導の軸としている。

成長の早い高校生であっても、結果というものが形としてはすぐ出なければ、練習に対しての気持ちが続かなくなるため、パソコンで具体的な数字を出して、選手たちのモチベーションへとしているのだ。

デジタル野球」では、選手の動きなどを細かく分析できることもあり、一人一人の適した能力を見つけ出し試合にも活かせるという強みもある。

チームスポーツではあるが、選手全員を無理やり同じ方向に向かせるのではなく、選手達一人一人の特性にあった、基礎のマニュアルを作り指導をすることで、「集団」ではなく「組織」として機能した強いチームが完成するのだ。

また、高校野球では「精神面」が試合に大きな影響を与えるため、日々の練習では選手に「自信」を持たせるようにしている。

そこで、簡単なことや基礎的なものなど、上手くなる要素を取り入れながら、調子の上がらなくなった際に見直せる「原点」を伝えている。

指導者が教えるだけでなく、選手たちが自ら「原点」の戻りやすいように、休日の練習時には「自主練」の時間を多く設け、自分自身と向き合う時間も大切にするようにしている。

そして、「原点」の理解と練習で学んだことを忘れないようにするために、他の選手に自身が学んだことなどを指導するシステムも取り入れている。

選手同士で教え合うことには、「自立したチーム」ができあがることに加え、誰かに伝えることでより力が深まるなどメリットが多数存在している。

監督やコーチが技術指導をして成長させるのではなく、指導者が選手たち自らが考え動ける「成長しやすい環境」を作り、自分たちで高め合うことで、強いチームが完成するのだろう。

近年はライバル校に甲子園を阻まれているが、県や地区で上位進出を続けている遊学館から、今後も目が離せない。

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