2017年の夏の甲子園で、驚異的な打撃力で勝ち進み、4度目となる準優勝を成し遂げた、広島県の広陵高校。
当時チームの4番捕手を務めていたのは、夏の甲子園最多本塁打記録となる6本塁打を放つなどの活躍を見せた、中村奨成選手である。
中村選手は、中学時代から攻守に渡り、県内トップレベルの実力であったことから、全国からも注目を浴び、複数の強豪校からスカウトされる存在であった。
しかし、野球に集中するあまり、グランド外の学校や私生活での態度は、品行方正とは言い難い状態であった。
そんな中村選手は、後の恩師となる広陵の中井哲之監督に、野球だけの人間ではダメであることを厳しく指導されたのであった。
周囲の大人が、野球の実力ばかりを評価するなか、敢えて厳しく短所を指導してくれた中井監督の言葉に刺激を受け、学校や私生活の態度を改めるようになっていった。
広陵に進学後も野球だけでなく、周囲から人間性を評価されるように努力を続け、控え選手や親への感謝なども口にするようになり、人として大きな成長を遂げていった。
その結果、最初で最後となった3年の夏の甲子園では、最多本塁打、最多打点、最多塁打の大会記録を更新する活躍で、チームを準優勝へ導いたのであった。