夏の甲子園初出場初優勝という快挙で、その名を全国に広めて以降、全国トップレベルの強豪としての地位を確立している前橋育英。
決して派手さやダイナミックさはないものの、当たり前の徹底により身についた基本に忠実なプレーを武器に戦うスタイルが持ち味である。
そんな前橋育英を指揮している荒井直樹監督は、野球以外の部分の凡事についても、徹底させている。
前橋育英は、全国制覇経験校として、今でこそ、全国有数の名門として認識されているが、荒井監督が就任した当時は、県内でも無名の存在であった。
そのため、力のある選手が入部してこないだけでなく、チーム内には、硬式野球を経験している者も少なかった。
だが、荒井監督は、ないものを求めるのではなく、今できることを探し、そこにベストを尽くすようにした。
その一環でスタートさせたのが、野球以外の部分も含めた、誰にでもできることを誰よりも徹底してこなすことであった。
中でも、礼儀作法や清掃活動など、能力や技術の有無に関係なく、意識一つで誰でもできることについては、妥協を許さず完璧を追求した。
その結果、野球人として成果を出すだけでなく、その後の人生においても周りから頼られる、素晴らしい人間が育つようになったのであった。
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